掲載組織プロフィール
パナソニック ホールディングス株式会社
プロダクト解析センター ユーザビリティソリューション部
プロダクト解析センターはパナソニック ホールディングス傘下にあり、グループ全体の評価技術を共通基盤として支えるとともに、社外に対してもソリューションを提供する組織です。
総勢約150名で、材料分析や電気、バイオ、コンピュータシミュレーションなどに詳しいメンバーが所属しています。
その中でユーザビリティソリューション部は「人を解析する部隊」として、創業者・松下幸之助の「人に優しい商品づくり」の理念を受け継ぎ、ウェルビーイング社会の実現をミッションに掲げています。

デジタルヒューマンシミュレーションと応用
プロダクト解析センターでは、デジタルヒューマン技術として、人の状態を数値化・定量化する技術を開発しています。特に「体の状態評価」においては、体のどの部位にどの程度の負担やしんどさがかかっているかを把握することが可能です。
デジタルヒューマンシミュレーションを活用することで、家電、住設建材、車載部品などの製品開発において、寸法違いの製品や多様な年齢層の被験者を集めて行っていた従来評価の課題(時間やコスト、アンケートの信頼性など)の解決に寄与しています。

また、多様な姿勢での動作負担を仮想的に可視化できるため、製品開発における評価課題の解決に役立てています。
この姿勢生成には、内部の逆運動学に基づくアルゴリズムで生成する方法と、モーションキャプチャデータを取り込む方法があります。
導入の経緯
トイレなどの狭小空間では、Kinectのようなモーションセンサや光学式カメラでは死角が発生してしまうという課題がありました。そこで安価な慣性式センサの導入も検討しましたが、既存製品では精度の点から手動でのデータ補正が必須でした。
また、掃除機や車両内部での評価においては、電磁気の影響によるドリフト(いわゆる幽体離脱のような現象)が発生してしまい、従来の慣性式センサでは、手動でのデータ補正にも限界を感じていました。
そうした状況の中でXsens製品に出会いました。実際にデモで体験した際に、「掃除機がけをしても元の位置にしっかり戻ってくる」「運転中でも幽体離脱しない」と感じた点が決め手となり、導入に至りました。
Xsensを活用したユーザー評価の事例
Xsensは、デジタルヒューマンシミュレーションと組み合わせて、さまざまな製品のユーザー評価に活用されています。トイレ空間の評価事例では、高齢者が手すりなしで立ち上がる動作や、手洗い位置の違いによる動作の比較を計測しました。その結果、手洗いの位置によって体への負担や身体の回転量、すなわち転倒リスクに差が生じることが分かり、レイアウト設計に活かされています。

介護施設におけるトイレ介助の評価では、介助する側・される側の双方にXsensデバイスを装着し、2人が密着する状況下で動作計測を実施しました。この計測データとデジタルヒューマンシミュレーションを組み合わせることで、負担の少ない介助動作や、介助しやすいトイレレイアウト(車椅子移動のスペース確保など)の提案につながりました。
単に「姿勢が見える」だけでなく、設計判断に活用できる定量データになる点が大きなポイントです。
導入効果と事業貢献
Xsensの導入効果としては、導入から約2年で費用回収を実現し、その後はプロダクト解析センターの売上にも貢献しています。また事業貢献の観点では、パナソニック製品の訴求に加え、企業としてユーザー体験を深く研究している点を示すブランディング効果も得られています。
今後の取り組み 「心(感性)の定量化」
今後は、体だけでなく心も定量化し、より良い社会の実現を目指していきたいと考えています。
現在検討中のMANUS Metagloves ProをXsensと組み合わせて活用し、「握り心地」や「触り心地」といった感性要素を深掘りしていく予定です。
例えば、カメラレンズや洗濯機の蓋など、製品の質感や操作感がユーザーにもたらす満足度や高級感を数値化し、「触りたくなる」「操作したくなる」設計への活用を目指します。
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用途・予算に応じた最適なシステム選定から、デモ機のお試しまでサポートいたします。